菜の花はアブラナ科植物の花の総称です。コマツナ・チンゲンサイ・キャベツ・ケール・カブ・ブロッコリーあたりの野菜は収穫せずに放って置くと、黄色い菜の花が咲きます。
そのため菜の花とひとくちに言っても品種によって栄養価はぜんぜん異なります。もちろんどれも食用にはなり得ます。
ただこの記事では、春先にスーパーで売られている菜の花(和種なばな)に限定して話を進めていこうと思います。結論から述べると、リクガメは菜の花を好んで食べますし、サブメニューとして加えるならばオススメできる良い野菜です。
「菜の花・なばな」のカメエサ評価
カルシウム量 | ◯ | 可食部100gあたり160mg(※和種なばな類の場合) 小松菜とほぼ同等で問題なし。 |
---|---|---|
カルシウム/リン比 | × | 1.8 : 1(可食部100gあたりリンは86mg) 小松菜の約2倍のリン量であり、ややバランスが悪い |
嗜好性 | ◯ | 花を好んで食べる |
価格 | ◯ | 100gで100円程度 旬である3月頃は安くたくさん手に入る |
総合評価 | 57点 | 春先の旬に食べさせたいサブメニュー |
コマツナよりも豊富な食物繊維とビタミン
リクガメのエサを比較するときに、よく比較対象にされるのが「コマツナ」です。コマツナは市販野菜のなかでは定番中の定番とも言える給餌メニューで、カルシウムやビタミンのバランスが優れています。
菜の花(なばな)とコマツナとを比較したときに、菜の花が勝っているのは食物繊維とビタミン(の一部)です。分かりやすく表にしてみました。
(可食部100gあたり) | コマツナ | 菜の花(なばな) |
---|---|---|
食物繊維 | 1.9 g | 4.2 g |
β-カロテン | 3100 μg | 2200 μg |
ビタミンE | 1.0 mg | 3.0 mg |
ビタミンC | 39 mg | 130 mg |
葉酸 | 110 μg | 340 μg |
カルシウム | 170 mg | 160 mg |
リン | 45 mg | 86 mg |
(※五訂日本食品標準成分表より)
比べてみると、なかなか悪くない数値です。
食物繊維はコマツナの2.2倍、ビタミンE・ビタミンC・葉酸の3つはコマツナの約3倍もの含有量があります。
旬の「菜の花」は思っていたよりも栄養満点でした。市販野菜では不足しがちな繊維質が少しでも多く摂れるのは良いことです。
とはいえ、カルシムとリンのバランスはあまり宜しくない(リン量が多すぎる)ため、菜の花は常食には不向きです。旬にスーパーで出回っているときに給餌メニューのバリエーションとして付け加えるくらいが丁度良いでしょう。
嗜好性は高く、花も葉もリクガメは好んで食いつきます。(というよりもリクガメは普段はあまり食べないような《珍しい野菜&野草》が大好きで、春のなばなや夏のキュウリなど大変喜びます。その季節、その旬に合った給餌メニューを与えるのが理想的ですね)
菜の花の「甲状腺腫誘発物質」は大丈夫なの?
菜の花(なばな)はアブラナ科植物の代表格ですから、甲状腺腫誘発物質の存在が気になる飼育者さんはいらっしゃるかもしれません。
しかしアブラナ科植物に含有される甲状腺腫誘発物質を気にしていては、コマツナやチンゲンサイやカブの葉までリクガメには与えられなくなってしまいます。それはもちろんナンセンスな話です。
リクガメと甲状腺腫誘発物質の関係については、下の記事に詳しくまとめています。
お時間のあるときに読んでいただけたら嬉しいのですが、要約すると「市販野菜を与えるときに甲状腺腫誘発物質は気にしなくても良い」が結論になります。
菜の花の「シュウ酸」は大丈夫なの?
菜の花は収穫時期によってはけっこう苦味が強かったりしますので、もしかしたらシュウ酸量が多いのでは?と不安な方もいらっしゃるかもしれません。シュウ酸はカルシウムの定着を阻害します。また尿路結石の原因にもなります。
「シュウ酸量の多いホウレン草はリクガメに与えてはいけない」というのはリクガメ飼育者の間では有名な話かと思います。
では菜の花のシュウ酸量はどうでしょうか。
調べたところ、菜の花のシュウ酸量は「ホウレン草の20分の1以下」でした。これはまったく問題にならない量で、安全であると言えます。もともと菜の花はアク抜きの必要ない野菜として知られますし、アクとなるシュウ酸もほとんど含まれておりません。
シュウ酸量で言えば菜の花&コマツナよりも、キャベツ&レタスの方が6倍近く多いです。なのでキャベツやレタスの方が、常食させないよう気をつける必要があります。
菜の花は総合的に見てバランスの取れた市販野菜であると言えます。菜の花の旬は2月~3月頃とされますが、早いところでは11月頃からスーパーの野菜売り場に並んでいます。
リクガメ給餌メニューのバリエーションのひとつとして、旬になれば菜の花を加えてみるのも良いでしょう。
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