リクガメに限らずカメは甘いもの・甘い香りのするものが好きなようで、バナナも大変食いつきの良いフルーツです。
しかしながら草食性のリクガメにとって「バナナ」はバランスの良い食べ物であるとは言えず、くれぐれも与えすぎは厳禁です。
今回はバナナのリクガメ餌としての評価を見ていきます。
「バナナ」のカメエサ評価
カルシウム量 | × | 可食部100gあたり6mg カルシウムはほぼ無いに等しい |
---|---|---|
カルシウム/リン比 | × | 1 : 4.5(可食部100gあたりリンは27mg) かなりバランスが悪い |
嗜好性 | ◎ | 非常に好んで食べる |
価格 | ◎ | とても安い |
総合評価 | 23点 | 常食は厳禁(※完全草食性リクガメの場合) |
バナナをリクガメに与えても良い?
私は給餌メニューにバナナを加えることは滅多にありません。年に数回与えるくらいです。というのも飼育しているのが「ロシアリクガメ」であり、完全草食性のリクガメであるからです。
給餌メニューを考える際には、まず飼っているリクガメの食性を知ることが大切です。
例えば「アカアシガメ」「キアシガメ」「エロンガータリクガメ」などは雑食傾向の強いリクガメで、自然下でも果物や昆虫、動物の死骸といった高タンパクな餌を食べています。したがってこういった種に、副食としてバナナを与えるのは無問題です。むしろ良い栄養補給食になり得ます。
一方で「ロシアリクガメ」「ギリシャリクガメ」「マルギナータリクガメ」など完全草食性のリクガメにはあまり高タンパクな餌は好ましくなく、バナナの常食は避けた方が良いということになります。
よくリクガメの飼育情報を調べていると「○○はリクガメに食べさせると良い!」「○○はリクガメに食べさせちゃダメ!」といった話が出てきますが、リクガメも種類によって食性が違いますので一概に良し悪しを語れるものではありません。
そういうときは情報を発信している飼育者さんがどの種類のリクガメを飼っているかをチェックしてみると良いかと思います。(なお当サイトの管理人はロシアリクガメを飼育していますから、餌について語るときはチチュウカイリクガメ属が念頭にあります)
ただ実際のところ「リクガメの食性については分かっていない部分も多い」です。
完全草食性だとされているロシアリクガメでさえ「庭のダンゴムシをばくばく食べてる!」といった屋外飼育者さんの話をよく聞きます。となると我々の予想に反してロシアリクガメにも雑食傾向がある(かもしれない)ということになります。
ですから「バナナは完全草食性リクガメには非推奨」ということでは決してなくて、たまにバナナや他のフルーツをメニューに加えてみるのは良いことだと考えています。
うちでもバナナやイチゴやメロンを時折は食べさせています。主食・副食・特別食に分けるとすれば、バナナは「特別食」の位置づけですね。
バナナの栄養価
バナナはご存知のとおりスーパー栄養食品で、ビタミンがたくさん含まれています。リクガメ餌として定番のコマツナと栄養価を比較してみましょう。
(可食部100gあたり) | コマツナ | バナナ |
---|---|---|
タンパク質 | 1.5 g | 1.1 g |
脂質 | 0.2 g | 0.2 g |
炭水化物 | 2.4 g | 22.5 g |
食物繊維 | 1.9 g | 1.1 g |
βカロテン | 3100 μg | 56 μg |
ビタミンE | 1.0 mg | 0.5 mg |
ビタミンB1 | 0.09 mg | 0.05 mg |
ビタミンB2 | 0.13 mg | 0.04 mg |
ビタミンB6 | 0.12 mg | 0.38 mg |
ビタミンC | 39 mg | 16 mg |
葉酸 | 110 μg | 26 mg |
カルシウム | 170 mg | 6 mg |
(※五訂日本食品標準成分表より)
意外なことに、グラムあたり換算ではコマツナよりもバナナの方が低タンパクでした。イメージに反してバナナは低タンパク食品だったんですね。ビタミン類に関してはコマツナの方が優れています。
ともあれ、可食部 100 g あたりでの比較となりますから野菜類のコマツナと果物類のバナナとで並べたのは失敗だったかもしれません。
バナナにはコマツナの10倍近くの炭水化物があります。この炭水化物というのはバナナの場合は主に「糖質」(ブドウ糖、果糖、ショ糖)です。糖質の与えすぎは肥満の原因となりますから、リクガメにバナナを与える場合は高タンパクよりも高糖質の方が問題となりそうです。
とはいえ完全草食性リクガメでも、自然下で糖質を含む果物や花を食べています。月1くらいでバナナを少量与える分には問題ないでしょう。雑食寄りの種であれば副食にもなり得ます。
まとめ
ロシアリクガメに限って言えば、バナナは主食として不適で、副食としても適さないと考えます。
「特別食」として月1回くらいの頻度に留めておくのが良いかと。
偏食傾向の強いリクガメですと、甘い果物やリクガメフードを与えてばかりいるとそれしか食べなくなって、野菜に口をつけてくれなくなります。
リクガメの主食は「野菜 & 野草」だということを忘れずに。バナナは誕生日ケーキやクリスマスケーキの代わりくらいに考えておきましょう。
コメント
最近有機バナナにハマっていて
カメにバナナの皮を与えていたので(有機じゃないものは皮は猛毒が塗られているので✕)
バナナの皮の方の栄養素も気になったりします。
低糖質で、皮の方が栄養たっぷり、というので。
どちらにしてもカメへの適正は、小松菜に劣るんですかねー。
R.Uさん コメントありがとうございます。
有機バナナ良いですね。家庭菜園で育てたバナナは人間でも皮ごと美味しく食べられると聞いて、私も興味を持っています。
皮の栄養価の詳細は分からないですが、いろんな野菜や果物を与えてバリエーションに富んだ食生活とするのはリクガメにとっても理想的ですので、有機バナナをそのバリエーションのひとつに加えるのは良いことだと思います。