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ウチワサボテン(リクガメのエサ考察)

リクガメのエサとして、野草や野菜と並んで人気があるのが「ウチワサボテン」です。サボテンをリクガメが丸かじりする姿は、なんとも可愛らしいものですよね。

この記事では、ウチワサボテンがリクガメのエサとして適しているのか、栄養成分や与える際の注意点、さらには自宅での育て方まで詳しく解説します。

ウチワサボテンを食べるロシアリクガメ
ウチワサボテンを食べるロシアリクガメ
目次

ウチワサボテンのリクガメエサ評価

結論から言うと、ウチワサボテンはリクガメのエサとして非常に優秀です。とくに、骨の健康に不可欠なカルシウムとリンのバランスに優れています。

カルシウム・リン・シュウ酸の含有量

リクガメのエサを評価する上で重要なのが、カルシウム、リン、シュウ酸の3つの成分です。

  • カルシウム(Ca)とリン(P)の比率: カルシウムが多く、リンが少ない(理想はCa:P = 5:1以上
  • カルシウム量: 定番野菜の小松菜(170mg/100g)やチンゲンサイ(約100mg/100g)より多いと優秀
  • シュウ酸: 少ない方が望ましい(カルシウムの吸収を阻害するため)

では、ウチワサボテン(食用サボテン「ノパル」)の成分を見てみましょう。

成分ノパル小松菜チンゲンサイ
カルシウム164 mg170 mg100 mg
リン16 mg45 mg27 mg
Ca:P比率10.2:13.7:13.7:1

可食部100gあたり。ノパルの栄養成分は米国農務省国立栄養データベース、小松菜とチンゲンサイの栄養成分は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年に基づく

ウチワサボテンのカルシウム含有量はチンゲンサイを上回り、小松菜に匹敵する優秀な値です。

そして、特筆すべきはカルシウムとリンの比率が約10:1であること。理想とされる「5:1」をはるかに超えており、リクガメのエサとして極めて理想的なバランスと言えます。市販野菜でここまでリンに対するカルシウム量が多いものは見たことがありません。

シュウ酸については、たしかに一部のサボテンには大量のシュウ酸が含まれていて生食すると危険だったりするのですが、食用に栽培されているウチワサボテンの品種については含有量は少ないため安全とされています。ただ、正確なシュウ酸含有量のデータについては、情報参照元によって記載数値がバラバラで不明瞭なところがあります。

過剰に与えなければそこまで心配する必要はないでしょう。

食用のウチワサボテン品種

ウチワサボテンには多くの種類がありますが、リクガメに与えるなら食用品種を選びましょう。代表的なのは以下の3つです。

  • ノパル: 食用ウチワサボテンの総称として使われることが多いです。
  • バーバンク: 「ステーキサボテン」とも呼ばれる、トゲがほとんどない品種。扱いやすく、リクガメに与える際も安心なため、とくにおすすめです。
  • ノパレア・コケニリフェラ:一般的に「ノパル」として売られている品種です。バーバンクよりも小ぶりなため、ロシアリクガメのような小さなカメでも食べやすいです。ごく稀にDAISOでも売っているのを見かけます。
    (ただDAISOのサボテンは品種がラベルに書いているわけではないため、サボテンの見分け方に相当な自信のある方だけ手を出してください)

嗜好性は個体差あり

栄養満点のウチワサボテンですが、すべてのリクガメが好んで食べるわけではないようです。

我が家のロシアリクガメの場合、興味を示して食いつくものの、一枚を完食することはありません。嗜好性はリクガメの個体差が大きいと思われます。

与える際の注意点

ウチワサボテンをリクガメに与える際は、少しだけ準備をしてあげるとより安全です。

とくにロシアリクガメのような小型種には、刺座(しざ)と呼ばれるトゲの付け根の部分をピーラーで剥き、食べやすい大きさにカットしてから与えることをおすすめします。

バーバンクのようなトゲ無し品種でも、目に見えない細かなトゲ(芒刺)が残っていることがあるため、念のため処理しておくと安心です。トゲは人間の皮膚に刺さっても痛くてなかなか抜けないので、処理の際は気をつけてください。

ウチワサボテン
左:ウチワサボテンをピーラーで剥いた様子

ウチワサボテンの育て方

ウチワサボテンは生命力が非常に強く、家庭でも簡単に栽培できます。リクガメのエサ用に自家栽培してみてはいかがでしょうか。

入手方法と増やし方

園芸店で食用品種の苗を購入するのが最も確実です。また、フリマアプリ(メルカリなど)で苗や挿し木用のものが出品されていることもあり、これらを購入して増やすこともできます。

ウチワサボテンは挿し木で簡単に増やすことができます。カットされたサボテンの切り口を数日間乾燥させ、乾いた土に挿しておくだけで根付いてくれます。

ちなみに、DAISOなどの100円ショップでもウチワサボテンが売られていることがありますが、多くは品種不明の観賞用です。食用のものとは限らないため、リクガメに与える目的であれば、園芸店などで食用品種として販売されているものを購入するのが無難です。

栽培の注意点:寒さに弱い

栽培は簡単ですが、寒さには弱いという弱点があります。

我が家では、庭にウチワサボテンを地植えして増やしていましたが、ある年の冬の厳しい寒波で残念ながら全滅してしまいました。温暖な地域以外では、冬場は室内に取り込むか、鉢植えで管理するのがおすすめです。

ウチワサボテン
右側:我が家で育てていた食用サボテン「ノパレア・コケニリフェラ」
左の刺がいっぱいあるサボテンは食用ではないので食べられません

まとめ

ウチワサボテンは、カルシウムとリンのバランスが理想的で、リクガメのエサとして非常に優れた食材です。

  • カルシウム量は小松菜に匹敵し、Ca:P比率は10:1と理想的。
  • 食用品種の「ノパル」や、トゲの少ない「バーバンク」がおすすめ。
  • 小型種に与える際は、刺座を処理し、カットすると安全。
  • 挿し木で簡単に増やせるが、寒さには注意が必要。

リクガメの健康的な食生活のバリエーションとして、ぜひウチワサボテンを取り入れてみてください。

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この記事を書いた人

2006年からロシアリクガメ(ホルスフィールドリクガメ)を育てています。

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