春菊と菊菜(リクガメのエサ考察)

春菊(しゅんぎく)もしくは菊菜(きくな)は冬場の旬野菜で、鍋の材料としても定番です。

紛らわしいですが、旬は冬です。「春菊」の名称があるのは、春に黄色い(菊のような)花を咲かせるからなんですね。

この記事では、リクガメの餌としての春菊の評価を行っていきます。

Q.ところで「春菊」と「菊菜」の違いは?

A.春菊と菊菜は、ほぼ同じと考えて差し支えありません。

関東では「春菊」、関西では「菊菜」の名前で呼ばれることが多いです。例えを挙げると「水菜」と「京菜」の関係に似ています。これも両者とも同じ野菜ですが、関東では水菜、関西では京菜と呼ばれます。

もっとも細かいことを言えば、春菊産地トップの千葉県で栽培されるものと、第二位の大阪府で栽培されるものとでは若干品種に違いがあるそうです。風味や栄養機能評価では、同じものとして扱っても良いでしょう。

「春菊・菊菜」のカメエサ評価

カルシウム量 可食部100gあたり120mg
およそチンゲンサイと同程度
カルシウム/リン比 2.72:1(可食部100gあたりリンは44mg)
100g中のリン量はコマツナと同程度
嗜好性 完食はしないことが多い
(我が家のカメの場合は食いつきが悪い)
価格 1袋100~150円程度(季節による価格差あり。旬は冬)
総合評価 70点 可もなく不可もなく。リクガメの主食メニューのひとつに加えられる。

春菊のカルシウムバランスと、他の栄養価について

リクガメと春菊

リクガメの主要な餌となる市販野菜で、春菊のカルシウム/リン比がどのくらいなのか、比較リストを作ってみました。

  • 大根葉 5 : 1
  • 小松菜 3.8 : 1
  • チンゲンサイ 3.7 : 1
  • 水菜 3.28 : 1
  • 春菊 2.72 : 1
  • モロヘイヤ 2.3 : 1
  • サラダ菜 1.1 : 1
  • レタス 1 : 1.15

基本的に、リクガメの餌については「リンに対してカルシウム量が多いほど良い」とされています。理想を言えば5:1くらいであれば最高なのですが、市販野菜ですと大根葉やカブの葉くらいしかこれを満たすことができません。(ゆえに、野草やカルシウム粉末などで補います)

リストをご覧になれば分かるとおり、春菊はおおよそ(市販野菜のなかでは)真ん中くらいのバランスです。カルシウムがものすごく多いわけではありませんが、リクガメの餌としては問題なく与えられるでしょう。

Q. 春菊にはシュウ酸が含まれていますがリクガメに与えても大丈夫ですか?

A. はい。問題ありません。春菊は100g中におよそ27mgのシュウ酸を含みますが、これはほうれん草(650mg)の4%程度の量です。このくらいの量であれば、とくに気にする必要はありません。

ほうれん草と違って、菊菜はサラダにして生でも食べられる野菜です。鍋に入れて見るとわかりますが、あまり灰汁の出る野菜でもありません。

Q. 春菊の独特な香りの成分は何ですか?

A. 春菊特有の香りはペリルアルデヒドと呼ばれる成分に由来するものです。シソなどに含まれるものと同じです。

ペリルアルデヒドの毒性については欧州食品安全機関(EFSA)の方で評価が揺れているため100%安全とは言い切れませんが、少なくとも一般的に摂取する分においては「食欲増進」や「抗菌解毒」の作用がありますし、健康にプラスに働くものと認識されています。

Q. 春菊にはカルシウムの他にどのような栄養成分が含まれますか?

A. 特筆すべきはβカロテン(ビタミンA)の含有量です。100g中に4,500μgものβカロテンを含みます。小松菜やチンゲンサイよりもβカロテンは豊富です。

リクガメの食べる市販野菜のなかでは、モロヘイヤに次いでβカロテン量が多いのが春菊です。

ビタミンやミネラル分も豊富ですが、だいたい他のカメ野菜と同程度です。

Q. リクガメは春菊を食べる?

A. 我が家のロシアリクガメは、春菊を食べます。完食……はあまりしないかな。半分くらいは残します。

チンゲンサイのほうが好きなようで、食いつきとしてはまずまずです。

春菊は香りが強いため、嗜好性については個体差が大きいものと思われます。与えるときは水洗いをして、生のまま与えて構いません。

冬場のリクガメエサとして、春菊を献立に加えてみるのも良いですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました