モロヘイヤ(リクガメのエサ考察)毒性とシュウ酸についての疑問と回答

モロヘイヤはその栄養価の高さから「野菜の王様」の名を冠します。

ビタミンA,E,K,B2,B6,葉酸,パントテン酸,ビタミンC,カリウム,銅,マンガン,モリブデンなど、ありとあらゆるビタミンとミネラルを有しています。リクガメにとって重要となるカルシウム量は野菜類のなかでトップクラスです。

(余談ですが野菜のなかでカルシウム量がもっとも多いのはパセリです。モロヘイヤは2位。なお、パセリはシュウ酸量がほうれん草よりも多いため、カメ餌としては不適です)

ここではリクガメの主食としての、モロヘイヤの機能性評価を行っていきます。

「モロヘイヤ」のカメエサ評価

カルシウム量可食部100gあたり260mg
リクガメの食する市販野菜のなかでは最も優れている
カルシウム/リン比2.36:1(可食部100gあたりリンは110mg)
カルシウムとリンのバランスでは、小松菜やチンゲンサイに劣る
嗜好性とてもよく食べる。
価格1袋150円程度(季節による価格差あり。旬は夏)
総合評価90点リクガメの主食として申し分ない。栄養価に優れた野菜で、嗜好性も高くてGOOD

モロヘイヤの毒性についての疑問

リクガメとモロヘイヤ

Q. モロヘイヤには猛毒があるって聞いたけれど、リクガメに与えても大丈夫なの?

A. スーパーで市販されているモロヘイヤについては、まず毒性の心配はありません。安心して食べさせて大丈夫です。

モロヘイヤにはストロファンチジンと呼ばれる毒があります。1996年に、モロヘイヤを牛に食べさせたところ3頭が中毒症状を示して死んでしまい、その後の毒物確認試験でもやはりモロヘイヤの種子の致死性が確認されています。

これだけを聞くとゾッとする話ですが、これはあくまでモロヘイヤの種子の話です。スーパーで市販されているモロヘイヤは、種子をつける前の「幼葉」の部分を収穫したもの。この葉や茎には、当然ながら毒はありません。

モロヘイヤが種をつける時期が秋であり、(流通する)モロヘイヤの収穫時期が初夏であることを考えると、まず市販されるモロヘイヤに毒のある実がついているということはありません。即ちスーパーでモロヘイヤを手に入れた場合については、毒の心配はしなくても良いのです。

家庭菜園でモロヘイヤを育てている際は、少しだけ注意が必要です。収穫時期を逃して、実をつけるまで成長させてしまうと、リクガメがうっかり種子を食べてしまったときに危険です。花が咲いてしまう前に収穫を終えるのがポイントです。

ネットではモロヘイヤの毒性について不安を煽るような情報が溢れていますが、過度の心配は不要です。もしスーパーで出回っているモロヘイヤに毒があるのだとすれば(人間にとっても)大問題なのですから。

モロヘイヤのシュウ酸についての疑問

リクガメとモロヘイヤ2

Q. モロヘイヤには(尿路結石の原因となる)シュウ酸が多く含まれるので、リクガメには与えないほうが良いのでは?

A. (モロヘイヤばかりを与えるというのでなければ)問題となりません。

モロヘイヤには100g中に163mgのシュウ酸を含むとされ、たしかに小松菜やチンゲンサイの2倍程度あるため、シュウ酸はやや多いと言えます。しかしそれでもほうれん草の1/5程度の量です。リクガメの主食メニューの一部に加えて差し支えないと考えます

もしどうしてもシュウ酸が不安であれば「下茹でしてから10分ほど水にさらす」方法で、シュウ酸量を半分程度減らすことができます。

ただ、これをやってしまうと「モロヘイヤに含まれる水溶性ビタミンの何割かが失われてしまう」「カルシウム量が34%ほど減ってしまう(注1)」といったデメリットがあります。このあたりはトレードオフの関係です。
(注1)根拠は文部科学省発表の『五訂増補日本食品標準成分表』

我が家では、とくに下茹ではせずに、生のままモロヘイヤを与えています。

モロヘイヤの栄養成分

モロヘイヤには下記のような栄養成分が含まれます。(可食部100gあたり)

  • ビタミンA 840μg
  • ビタミンE 6.5mg
  • ビタミンK 640μg
  • ビタミンB1 0.18mg
  • ビタミンB2 0.42mg
  • ビタミンB6 0.35mg
  • 葉酸 250μg
  • パントテン酸 1.83mg
  • ビタミンC 65mg
  • カルシウム 260mg
  • マグネシウム 46mg
  • 銅 0.33mg
  • マンガン 1.32mg
  • モリブデン 15μg

リスト中のもの以外の成分も多く含みますが、とにかくカルシウム・ビタミン・ミネラルが野菜のなかでは断トツで豊富です。

モロヘイヤの旬となる夏場には、ぜひ主食のひとつに加えたいものです。

たしかにリクガメにとっては「栄養価が高すぎる(・・・・)」ということと「シュウ酸量とリン量がやや多い」といった欠点はあるのですが、毎日モロヘイヤばかりを与えるのでなければ気にすることもないでしょう。

他の野菜や野草を組み合わせて、バランス良くいろんな種類の植物を食べさせてみることが一番です。

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