ややマイナーな野菜ですが、本日ご紹介するリクガメエサは「ツルムラサキ」です。ツルムラサキはカルシウムが豊富な野菜で、カルシウムの含有量はおおよそ小松菜と同程度です。他にβカロテン、マグネシウム、カリウムなどが豊富で、健康野菜として最近では注目されています。
ただ、一般的な野菜ではないので、値段は高めですね。同量なら小松菜やチンゲンサイの2~3倍くらいの価格で売られています。でも「いっつも小松菜やチンゲンサイばっかりで飽きたよー」というカメさんにはツルムラサキが良いかもしれません。
この記事ではリクガメのエサとしてのツルムラサキを考察していきます。
ツルムラサキのカメエサ評価
カルシウム量 | ◎ | 可食部100gあたり150mg |
---|---|---|
カルシウム:リン比 | ◎ | 5.3:1 ツルムラサキはリン量が少なく、小松菜以上にカルシウム・リン比率のバランスに優れます。 |
嗜好性 | △ | 完食はしないことが多い。 他の飼育者さんのブログを読むところ、好き嫌いがけっこう分かれるようです。 |
価格 | △ | 3束セットで280円くらいですかね。小松菜チンゲンサイと比較すると高価です。 |
総合評価 | 65点 | お値段の高さに目を瞑れば、優れたリクガメ飼料であると言えます。ただしシュウ酸量が不明のため、低めの点数としています。 |
カルシウムとリンのバランスが断トツで優れているツルムラサキ
リクガメのエサは「カルシウムとリンのバランス」が重要視されます。一般的に、完全草食性リクガメの場合はカルシウム・リン比が「5:1」のエサが理想的だといわれます。
しかし、人間用に改良された野菜は総じてリン量が多く(肥料にリン酸が使われているためです)この理想的なバランスの「5:1」を満たした野菜はまず見当たりません。例えば小松菜は「3.8:1」ですし、チンゲンサイは「3.7:1」です。これでもまだ優秀な方で、サラダ菜となると「1.14:1」です。ほとんどの市販野菜が、リクガメにとってリン量が多すぎるのです。
そしてこのバランスを満たした限られた野菜のひとつがツルムラサキで、カルシウム・リン比は「5.3:1」です。ツルムラサキ以外ですと、大根葉(5:1)やカブの葉(5.95:1)がありますが、いずれにせよマイナーで手に入りづらい野菜ですね。
そういった意味で、ツルムラサキは市販野菜で唯一カルシウムとリンの比率が優れている野菜として、重宝するリクガメ餌だと言えるでしょう。
シュウ酸は大丈夫?
シュウ酸にはカルシウム吸収を阻害する作用があり、リクガメにシュウ酸量の多い野菜&野草はNGだとされます。(例えばリクガメに与えてはいけない食べ物として、ほうれん草やカタバミがあるのはよく知られます)
問題のツルムラサキですが「五訂 日本食品標準成分表」を見る限り、シュウ酸量は分かりませんでした。ネット上を調べると「ツルムラサキはシュウ酸量が多いので気をつけて」という意見と「少ないから安全だよ」という意見の2つがあって、情報が錯綜しています。
この部分だけ不安要素としては残りますので、我が家ではツルムラサキはメインの給餌メニューにはしていません。カルシウム/リン比を気にするのであれば、野草を中心とするか、もしくは炭酸カルシウム添加によってバランスを調整する必要があります。野草が良いとは思っていても、なかなかそう採取できる場所は少ないので難しいところです。
ツルムラサキの旬や保存の仕方は?
旬は春から夏にかけてです。人間が食べる場合は、味噌汁に入れたりお浸しにしたり、あるいは炒めて中華料理風にしたり、さまざまな食べ方があります。
スーパーでは袋で密閉されて販売されていることも多いので、開封前であればそのまま冷蔵庫の野菜室でも3日くらい萎びません。
「濡らした新聞紙やキッチンペーパーで包んで、根を下にして野菜室に立てかけておく」これはツルムラサキに限らず、たいていの葉物野菜に適用できる保存の方法です。とはいえ少量で買う機会の方が多いですので、その日のうちに使い切れるでしょう。
リクガメはツルムラサキを食べる?
飼育者さんたちのブログを見てみると、ツルムラサキの嗜好性はカメによってかなり分かれるようです。うちのカメ(ホルスフィールドリクガメ)は食べるときと食べないときがあります。完食はせず茎の部分は残します。
もし嫌いで食べないようでしたら、無理にあげる必要はないでしょう。何しろ高価ですし……。
関西スーパーですと、この時期は「中抜き大根」と呼ばれる、100円台の安価で買えるダイコンの葉が売っていますので、我が家は市販野菜の餌メインはもっぱらそれです。ダイコン葉もカルシウム/リン比が5と優れていますので、もしスーパーで見つけたならば一度試してみてください。
ツルムラサキもカルシウム含有量は申し分ないですので、リクガメ餌のメニューに加えてまったく差し支えありません。バランスよくいろいろな野菜&野草に挑戦してみましょう。
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