悩ましいリクガメの床材選び
リクガメの床材選びは飼育者にとって悩みの種です。
私は今まで爬虫類専用土(カルシウムサンド、ココナッツサンド)、赤玉土(あかだまつち)、鹿沼土(かぬまつち)、新聞紙、チモシー(干し草)など、さまざま試してきました。
しかしどれも一長一短で「これがベスト!」と呼べるものは見つかりませんでした。
赤玉土は、リクガメ床材のなかではポピュラーで扱いやすいです。今日は赤玉土をご紹介します。
(リクガメの床材使用例。写真は赤玉土中粒)
赤玉土の床材としてのメリット
最大の利点はコストパフォーマンスの高さ
赤玉土は安いです。爬虫類専用土が2リットル2,000円ほどで売られるのに対し、同一容量の赤玉土だと500円程度で買えます。
安さこそが赤玉土最大の長所と言えます。月一回の床材総入れ替えをしても財布へのダメージは少ないです。当然ながら床材交換の頻度は多いほうが、衛生環境は良いです。高価なハ虫類専用土ではなかなか勿体なくて頻繁な床材交換をためらってしまいます。
赤玉土は園芸用土ですからホームセンターに行けば簡単に手に入ります。100円ショップにさえふつうに置いています。
対して爬虫類専用土はペットショップに行かねば手に入らないうえ、ペットとしてのマイナーさゆえか品薄であることが多く、おまけに高価です。コストパフォーマンスおよび入手しやすさでは赤玉土に敵いません。
赤玉土は 少量(3リットル以下)であればホームセンターや園芸店で買ったほうがお得です。
ネット通販は土そのものよりも送料が高くなり過ぎる難点があります。もっとも10リットルくらいのまとめ買いであれば、持ち運ぶのも重いですしネット通販の方が安くなるケースがあります。
リクガメが誤飲しても大丈夫なのか?
リクガメには「土を食べる習性」があります。(無論すべての飼育種が土を食べるわけではありません)
地中海近辺の砂や岩石は豊富なミネラルやカルシウム分を含み、野生化に棲息するチチュウカイリクガメ属はミネラル補給のため土を食べるそうです。このような習性を考慮すると「誤飲しても安全な床材」を選ぶ必要があります。
赤玉土は基本的には、誤飲時の安全性は高いとされます。
赤玉土にはミネラルやカルシウムといった栄養分は無いかわりに、窒素リン酸カリウムといった余計な肥料分も含まれていません。赤玉土を食べてもそのまま排泄されるだけで、毒となることはありません。
赤玉土は「石」のように見えてじつは「砂のかたまり」に近いので、囓るとすぐにバラバラに砕け散ります。その意味で窒息の危険性も低いでしょう。(少なくとも赤玉土誤飲による事故を私は聞いたことがないです)
その他、歩行安定性や衛生面など
赤玉土はけっこうな重さがありずっしりとしています。「重さ」はリクガメの歩行安定性の面ではプラスに働きます。
赤玉土は他の爬虫類専用土と比較しても「リクガメが歩きやすい」床材です。
ホルスフィールドリクガメはよく穴を掘りますが、赤玉土だと全身をすっぽり埋めるほどに掘っていくことができ、穴掘り習性のあるリクガメに良いのではないでしょうか。
なお、赤玉土には「小粒」「中粒」「大粒」の三種類があります。子ガメには、大粒は大きすぎるため、小粒から中粒あたりを使いたいです。大きなカメなら大粒でも平気でノシノシ歩きます。複数の赤玉土を「ブレンド」するのも良いですね。
(赤玉土の大きさ比較。左が大粒で、右が中粒。大粒はかなりサイズがおおきいため、子ガメには使えない)
衛生面でも、赤玉土は優れています。
園芸用土に使われるだけあって「吸水性」がとても高いです。リクガメの糞尿はできだけ早期に掃除して取り除くのが鉄則ですが、赤玉土は水分を吸ってくれるので掃除もやりやすく不衛生になりづらいです。
赤玉土のデメリット
赤玉土最大の短所は「粉塵(ふんじん)」が出やすいこと
ここまで通販ショッピングのように赤玉土の利点を並べ立てて来ましたが、赤玉土にも当然マイナス点があります。冒頭で述べた通り「あらゆる面で万能なリクガメ床材」は存在しません。
赤玉土の一番のデメリットは、粉塵が出やすいことです。
赤玉土は、砕けやすく時間が経つとさらさらの小さな砂状になります。これが空気中を漂ったりケージの壁にひっついたりするのが粉塵で、あまり衛生的なものではありません。
室内飼育だとなおさら赤玉土の粉塵は厄介で、部屋の汚れの原因にもなります。
「赤玉土の粉塵によるリクガメ呼吸器への影響」が気になるところですが、獣医さんに訊いてみたところ、そこまで神経質になる必要はないとのこと。(自然界のリクガメもふつうに砂の粒子を吸っているため)
赤玉土の粉塵対策は、拍子抜けするほどに簡単です。
つまり、粉塵がひどくなる前に赤玉土を交換すれば大丈夫なのです。
もともと粉塵がひどくなるケースというのは、赤玉土を何ヶ月にも渡って使い続けた場合です。定期的に床材交換をするのであれば、粉塵はまったくと言ってよいほど問題になりません。床材は消耗品だと割りきって、赤玉土は定期的に交換しましょう。
赤玉土の「処分しにくい」という盲点
案外困るのが、使用済み赤玉土の処分方法です。
赤玉土を「燃えるゴミ」として出せるかどうかは、自治体によって異なります。ココナッツサンドなどの爬虫類専用土は「燃えるゴミ」で出せるものがほとんどですが、赤玉土はけっこう微妙です。
私の地域では、園芸用土は少量であれば普通の燃えるゴミとして出すことができます。しかし大量となると、燃えるゴミとしても燃えないゴミとしても粗大ゴミとしても出すことができず、処分方法に窮してしまいます。
園芸用土の廃棄ルールを事前に調べておき、厳しそうであれば可燃ゴミで出せるハ虫類専用土を選んだ方が無難です。
まとめ
以上、赤玉土について見てきました。
個人的に赤玉土にリクガメ床材としての点数をつけるとすれば75点です。安価で優秀な床材候補のひとつだといえるでしょう。
コメント