リクガメの温浴は必要なのか? よくある質問と知るべきポイント

「リクガメを温浴させるべきか否か」「お湯の温度はどのくらいにしたら良いのか」「温浴の頻度はどのくらい開けるのが理想か」「リクガメが暴れたらどうしたらいいのか」など、温浴に関する疑問の数々は、リクガメ飼育者にとっても悩みのタネであります。

この記事では、リクガメ温浴に関するよくある疑問と、その回答について一問一答形式でお答えしていきます。

リクガメ温浴に関するQ&A

リクガメ温浴

Q.リクガメの温浴は必ずしなきゃいけないの?

A.いいえ。温浴をさせるべきか否かは、飼育者の間でも賛否が分かれます。

そもそもリクガメを温浴させるべきか否かについては、飼育者でも意見の分かれるところです。一般的なリクガメ飼育入門書ですと、温浴を勧める本が多いため(やっぱり温浴は絶対しないと駄目なのかな……)と思いがちですが、そうとは言い切れません。

主に温浴賛成派の意見には、下記のようなものがあります。

温浴のメリット/肯定意見

  • 飼育下で不足気味の水分を補給できる
  • 体を温め、体調を整える(食欲促進)
  • 手足、甲羅、総排泄孔の汚れを落とす
  • 温浴時に排泄の習慣がつけられ、掃除の手間が省ける(腸の働きを活発化させることにより排泄促進をする
  • 便秘、結石の予防、改善
  • 温浴の際に健康チェックができる(異常の早期発見)
  • リクガメがリラックスする
  • リクガメ長期飼育者で温浴をさせている人は多い
  • 日本のペットショップや動物病院では温浴を勧めている所もある。飼育書でも温浴推奨しているものが多い
これだけ利点を並べ立てると「温浴って素晴らしいものじゃないか!」と全力で首肯してしまいそうになりますね。しかし、賛否両論あるのです。以下に、温浴否定派の意見も列挙しておきましょう。

温浴のデメリット/否定意見

  • 水入れから水を飲まないリクガメであっても「ふやかしたカメフード」や「水分量の多い野菜」から水を摂らせることはできる。必ずしも温浴に頼る必要はない。
  • 温浴によって食欲や排泄を促すというのは(自然下ではありえないことなので)不自然。体を温めるのはバスキングライトで十分で、リクガメの意思に任せるべきだ。
  • 温浴時に排泄させれば掃除の手間が省けるだって? とんでもない! 温浴そのものの手間の方がはるかに大きいじゃないか。
  • リクガメがリラックスするだって? とんでもない! うちのカメは温浴をさせると嫌がって暴れまわるよ!!
  • (強制的に体温を変化させるから)変温動物のリクガメにとって温浴は負担となるはず。
  • 飼育書によって「温浴の間隔、時間、温度」の記述が異なっておりバラバラである。温浴は飼育方法として確立しているとはいえない(リスクの指摘)
  • 日本では推奨意見が多いものの、リクガメ飼育の先進国と言われるイギリスでは温浴に否定的な意見も目立つ。
  • お湯の温度や、水深などを間違えたときの事故リスクがつきまとう。
と、このように「温浴のデメリット」もかなり大きいことが分かります。これが飼育者が頭を悩ませている理由なのです。メリットとデメリットとを天秤にかけても、両者とも重いためどうすべきか判断の難しいところです。

リクガメ温浴グラフ

なお、弊サイトで過去に温浴の賛成派・反対派の調査を行ったところ、飼育者の91%が温浴に賛成しているという結果が出ました。

リクガメの温浴についてどう思いますか?

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ただしかなり古い調査データとなりますので、もし宜しければ上のアンケートにご協力くださいますと嬉しいです。

イギリスと日本の「温浴目的」の相違点

上のデメリットの項目で「イギリス」についての話が出てきたので少し触れておきます。リクガメ飼育大国のイギリスでも「温浴賛成派」の飼育者は多いです。ただ話を聞いてみると、その目的が日本とはやや異なります。

どういうことかと言うと、日本では温浴が「日常的なリクガメの健康管理」の方法として紹介されます。しかし、イギリスでは温浴というと「リクガメを冬眠させるテクニックの一つ」として取り上げられていることのほうが多いのです。

この点に、温浴意義の相違点が見られます。

冬眠前の準備に何故、温浴が必要なのでしょうか? 理由は二つ考えられます。

ひとつは、エサが消化されずに体内に残っている状態で冬眠させることは失敗 (=死)のリスクが高いということ。つまり、温浴で排泄を催す必要があるのです。

もうひとつは、脱水症状の状態で冬眠させるのがハイリスクであるということ。つまり、温浴で水分を補給させる必要がある、ということです。

飼育下でリクガメを冬眠させるのは、高いリスクを伴います。そのため、日本では(繁殖を目的とする場合を除き)冬眠をさせずに、暖かい室内で冬越しをさせた方が良い、という意見が圧倒的に多いです。

一方、イギリスでは、冬眠させることに関して反対意見も多いものの、賛成意見も比較的あるのです。これは「リクガメの野生におけるライフサイクルを大切にしよう」という考えに基づくものです。また、リクガメの屋外飼育が可能であることも、冬眠させる要因としては大きいでしょう。もちろん、上記に挙げた事情は、冬眠する種のリクガメに限られます。

そして冬眠から目を覚まさせるときにも、体温ケアのために温浴を用いるそうです。

もちろん、イギリスの飼育情報サイトを見ても「日常的ケアのための温浴」を勧める声はあります。例えば下記のように。

  • リクガメは”水入れ”の水を上手く飲めないから温浴が必要
  • 野生のリクガメも大雨の後には水に浸かり、喉を潤している
  • 水を飲んで腎臓の有害物質を洗い流す
  • 屋外飼育なら温浴は不要。室内飼育ならした方がベター
  • 大人のリクガメは週一回で十分だが、ベビーは毎日温浴させた方が良い

また、イギリスの飼育サイトでは「自発的入浴法」という日本とは違った温浴法も提唱されています。もっとも、これは温浴というよりは水浴に近いのですが……。

「自発的入浴法」ではまず、水を入れる容器を準備します。浅く、リクガメが中に入れるくらい大きいものにします。リクガメにひっくり返されないように、ある程度重さがあるか、安定した形状のものが良いでしょう。

それをケージの中に設置します。水を入れて、完成です。あとは、リクガメが好きな時に水を飲んだり、浸かったりするでしょう。

放任的にも思えますが、「好きなときに自分から進んで温浴をするのだから、それが一番良いだろう」ということです。強制的な温浴は、リクガメにとってもストレスになる可能性があります。

野生のリクガメは、自身が移動し、環境を変えることで体温を調節します。必要な時は、川や水場に入り、水分を補給します。この温浴法はリクガメの自発的な意志を尊重しよう!とするものです。

たしかに夏場であれば、大きめの水入れを置いておけばリクガメが勝手に入って、水浴びをする姿は見かけます。水温が冷たくなる冬場は不向きですが、夏場であればこの方法でも問題ないでしょう。(もっとも水で濡れた体に床材の砂やらがくっついて、かえって汚れてしまうといったデメリットがあるのですが)

我が家のリクガメの場合

ちなみに私のスタンスは「温浴はリクガメ飼育において必須ではない」で、立場でいえば温浴否定派に属します。ただ、温浴を絶対にしないというわけではなく、リクガメがあまりにも土などで汚れてしまった場合は、温浴をさせて歯ブラシで優しく磨いてあげます。温浴の頻度は年に数回程度です。

水分補給については餌経由でも十分で、温浴をさせなくても脱水症状は防げます。レタスに水を含ませて与えるだとか、リクガメフードを水でふやかして与えるだとかで、水分は摂らせることができます。

また「体温を上げて排泄を促す」というのは、バスキングライトや自然の日光に求められる役割であり、少なくとも温浴で強制的に実現させるものではないと考えています。ケージ内の温度が適切に保たれていれば、リクガメは自分の意思でライトの下へ移動して、体温をあげようとするはずです。

Q.温浴時の温度はどのくらいに設定すればいいの?

A.感覚として「かなりぬるま湯」を意識した方が無難です。人間のお風呂感覚では熱すぎです。

「36℃くらいのぬるま湯」「人肌より微妙に温かいくらい」が安全なラインだと思われます。が、温浴時の水温については、やはり飼育者によって意見がまちまちです。

温浴温度グラフ

弊サイトの過去の調査では、35度以下の「低温派」と、36度以上の「高温派」とで意見が分かれます。飼育サイトによっては「40℃が良い」と書いてあるところもあります。

つまり幅としては30℃~40℃となりますが、これではいくらなんでも幅が広すぎて、飼育理論としては役に立ちません。

感覚上の目安として、「水温30℃」というのは、真夏に水道水の入った水槽を置いていたときくらいの温度です。例えば夏場の沖縄の海水は、水温30℃程度に達します。「ぬるめのプール」のイメージです。

「水温40℃」というのは、おおよそ人間が入るお風呂の湯温です。30℃と40℃とでは、天と地ほどの差があることが分かります。

リクガメが変温動物であることを考えると、水温40℃の温浴はリスクが高いのではないかと考えます。この温度を勧めるリクガメ飼育サイトはありますが、私的には反対です。

Q.温浴の入浴時間はどのくらいが良いの?

A.5~10分くらいで大丈夫です。長風呂は避けましょう

温浴時間

温浴時間については、5~10分程度で良いとする意見が多数を占めます。

というのは、洗面器等にお湯を入れて入浴させることになるので時間の経過とともに水温がどんどん下がっていくからです。また、長時間の温浴はリクガメにとってもストレスになります。

温浴時に排泄もするので、水が汚れてしまった場合は、すぐに出してしまった方が良いでしょう。排泄後に水を飲んでしまっては、衛生上かえって逆効果となってしまいます。

飼育書によっては15分~30分と紹介しているものもありますが、長すぎではないかなぁ……と私的には思います。仮に30分の温浴をさせるとなると、複数の洗面器とお湯を用意して、つねに清潔な水と適切な温度を保ち続けてやる必要があります。これはかなり大変なことです。

Q.温浴の頻度はどのくらいが良いの?

A.飼育者によってバラバラです。私は年に数回程度で十分と考えています。

温浴間隔のグラフ

過去の調査では、上のような結果が出ています。「毎日させる」「週に1回程度」の飼育者が多い印象です。

私はすでに述べた通り、温浴にはどちらかと言えば否定的な見解を持っていますので、年に数回程度で十分なのではないかと考えています。

Q.温浴をさせるとリクガメが暴れるのだけれど、どうしたらいい?

A.水温が熱すぎないか、水深が深すぎないかを確認してください。嫌がるのであれば、温浴習慣はやめた方が無難です。

リクガメは顔が低い位置にありますので、水深が深すぎると溺れます。普通の状態で、楽に顔が出るくらいの水深にしてください。

水深や水温が適切であるにもかかわらず暴れる場合は、リクガメが心底温浴を嫌がっている証拠です。温浴習慣そのものを中断した方が良いでしょう。

まとめ「温浴の一番の問題点は、正しいノウハウが確立していないこと」

以上、リクガメの温浴について考察してきました。

現状におけるリクガメ温浴の一番の問題点は「温浴の正しいやり方」というのが飼育者によってバラバラで、専門家の執筆した飼育書でさえ意見が統一されていないことです。

温浴の頻度、水温、入浴時間など、(とくに水温の問題は極めて重要であるにもかかわらず)これが正しい!という結論が出ていません。

リクガメの温浴をさせる際は、このようなリスクを加味した上で判断をされると良いでしょう。うちのロシアリクガメの場合は、温浴は年に数回しかさせていませんが、10年以上元気に過ごしています。温浴はリクガメにとって必須の習慣ではありません。

長文となってしまいましたが、飼育者の皆様のお役に立てましたら幸いです。

(終わり)

コメント

  1. アラ ムツミ より:

    うちにも10年生きているロシアリクガメがいます。
    7年半前に飼い主が亡くなって、買い方が分からずエサだけ与えていました。温度管理だけはしていました。
    温浴は1年後、そういえば飼い主がたまに一緒にお風呂に入れていたなぁと思い、洗面所で温浴させるようになりました。つまり、1年は全く温浴せず、紫外線も与えず・・・でも、元気でした。紫外線はその後入れるようにしましたが、これも本当に必要なのかなぁと・・・
    温浴させていると忘れてしまって、水風呂に何時間もつけていたことがありました。かわいそうでしたが、何事もなく元気でホッとしました。すごく気を付けていますが温浴の時間、いつもまちまちです。15分ぐらいがベストだと思いますが、1時間の水風呂になってしまうこともしばしば・・・・ごめんなさい。
    でも、うちのリクガメは元気です。
    今困っているのは爪が伸びすぎているけど、あまりに硬すぎて切れないことです。でも、伸びすぎた爪で何年も過ごしているので、カメさんももう気にしていない様子です。。。ごめんなさい
    温浴は

    • のろろ(カメとタネ管理人) より:

      アラ ムツミさん

      コメントありがとうございます!
      サイト更新を止めていたため、長らく返信ができずにごめんなさい。

      リクガメの爪の伸びすぎは、我が家でも困りの種でした。
      以前は「猫用の爪切り」を使って切ろうと頑張っていたのですが、リクガメが怖がってしまい、ジタバタと暴れるのでうまくいきませんでした。

      ところが観念して動物病院に連れて行ってみると、獣医さんがとてもうまく切ってくださいました。
      その動物病院は、表向きは爬虫類の診療をやっていないのですが、猫・犬・鳥など、獣医さんは爪切りはけっこう慣れているようで、爪に血管が走っているリクガメの爪でもうまく処置してくれました。
      ひとまず「爪の伸びすぎ」については、動物病院でやってもらうのが一番楽だし安全かな、と私的には考えております。

      お役に立てたら幸いです。

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