ニンジン(リクガメのエサ考察)

ロシアリクガメなどの完全草食性リクガメは、基本的には野菜や野草などの「葉」の部分しか食べません。例外的に、リクガメにとって根菜類のなかで断トツに食いつきが良い食べ物。それが「ニンジン」です。うちのカメも、エサ入れにニンジンを置くと猛ダッシュで駆け出してきてムシャムシャと食べ始めます。リクガメは「色」を見ることができるのですが「黄色」や「オレンジ色」の食べ物はとくに好きなようですね。

さて、気になるニンジンの「カメ餌」としての評価。結論から述べれば、ニンジンは主食になりません。あくまで副食「デザート」と認識しておくと良いでしょう。嗜好性は半端じゃなく高いものの、与え過ぎには要注意です。

この記事では、リクガメのエサとしてのニンジンを考察していきます。

ニンジンのカメエサ評価

カルシウム量 × 可食部100gあたり33mg
カルシウム:リン比 × 1.2:1
嗜好性 市販野菜のなかではもっとも食いつきが良いです。
価格 1本80円程度です。
総合評価 45点 カルシウムとリンのバランスが悪いです。餌のメインにはなりません。「デザート」としてトッピング程度に加えるのが良いでしょう。

ニンジンは主食ではなくデザート。与え過ぎに注意!

リクガメとニンジン

リクガメはニンジンが大好きです。色が好きなのか香りが好きなのか味が好きなのかは分かりませんが、カメ視点では甘い果実のように映るのでしょう。あっという間に食べ尽くしてしまって「もっとちょうだい」とせがんでくるので、ついついいっぱい食べさせてあげたくなります。

たしかに、ニンジンはβカロテンやカリウム、食物繊維が豊富で、栄養価は良いように思えます。βカロテンは体内で「ビタミンA」へと変換され、ビタミンAはリクガメの眼病予防にも役立ちます。

しかしネックとして、ニンジンはカルシウムとリンのバランスが悪いのですね。カルシウムとリンの比率が5:1程度であれば理想的な餌と言えるのですが、ニンジンの場合は1.2:1です。ニンジンのような餌ばかりですと、リクガメの甲羅が成長していく際に支障をきたしてしまいます。

よって、ニンジンは餌のサブメニューとして与えるのが良いでしょう。我が家の場合は、月に2回くらいカレーを作るので、そのときに余ったニンジンの切れ端をリクガメに与えています。「料理で残った分をちょっとあげてみる」くらいのスタンスで良いのではないかと思います。

ニンジンをリクガメに与えるときは茹でる? 茹でない?

ニンジンは茹でずに、生のままでリクガメに与えて差し支えありません。もちろん茹でても構わないですが、熱いまま与えるのはやめましょう。

ちまたでは「ニンジンは茹でた方がβカロテンの吸収率が高まる」だとか、正反対に「いやいや、茹でたら水溶性ビタミンが溶け出してしまって栄養価が落ちる」など諸説出回っていますが、ぶっちゃけどちらであってもその差異は気にするほどのものではないです。我が家では「生のまま」リクガメに食べさせています。

ちなみに、ロシアリクガメなど小型なリクガメに食べさせるときは、ニンジンを円状にスライスするのではなく、線状に縦に切るとリクガメにとって食べやすくなります。

リクガメとニンジン2

上の写真のように、スティック状に切ってあげると、一口で噛み切れるので安全です。ゾウガメでしたらまるまる一本丸かじりもできますが、小型のリクガメだと噛みつくはいいものの顎が外れてしまいそうで心配です。細かく切ってあげましょう。

ロシアリクガメ成体の場合、あくまで「デザート」の位置づけですので、1回に与える量は「ニンジン1/3本程度」に収まるようにしています。

ニンジンの皮は剥いてから与えたほうがいいの?

これも、どちらでも構いません。我が家では料理で余ったものを使っていますので、基本的にはピーラーで皮を剥いたニンジンをリクガメに与えています。

栄養価の面では、ニンジンの皮付近にはβカロテンが多く含まれますので、皮ごと与えた方が栄養は取れるかと思います。

「皮についている残留農薬は大丈夫?」とご不安かもしれませんが、大丈夫です。流水でこすり洗いすれば、問題なく食せます。ゾウガメなんかも、皮付きニンジンをムシャムシャ食べている姿をよく見かけます。皮はあってもなくても構いません。

「ニンジン葉」のほうはリクガメ餌としてどうなの?

ここまでご紹介してきたのは、我々が普段からニンジンと呼んでいる「根っ子」の方の話です。

では、ニンジンの「葉っぱ」の部分はカメ餌としてどうなのでしょうか? ニンジン葉はとても栄養が豊富ということで、最近ではスーパーでも葉の部分のみが売られています。価格は1束400円台と……高級野菜の領域に達していますが、果たしてリクガメは食べるのか。

栄養面で評価をすると、ニンジン葉のカルシウム量は可食部100gあたり92mg、リン量は52mg。つまり比は1.76:1となり、根の部分よりはバランス面では優れています。(それでも主食とするにはカルシウム量が少ないです)

βカロテン量は、葉よりも根のほうが多いです。ニンジンの葉っぱの約5倍のβカロテンが根っ子には含まれています。したがって、葉を与えるメリットはさほどなさそうですね。また、葉は苦味がけっこうありますので、リクガメは好んで食べません。ニンジン葉はリクガメ餌としては不向きであると私は考えます。ただ、嗜好性が高いのであればサブメニューとしてあげる分にはまったく問題ありません。他の飼育者さんのブログを拝見すると、ニンジン葉が好きなカメさんも、意外と多いみたいです。

同じ根菜類の葉であれば「ダイコン葉」「カブ葉」のカルシウム量が断トツで高いです。こちらの方は自信を持ってオススメできます。

好き嫌いなく食べさせるのが理想

「ニンジンしか食べない」「カメフードしか食べない」「チンゲンサイしか食べない」などなど、リクガメ飼育においては「◯◯しか食べない」というのが宜しくないです。

日頃からいろんな野菜や野草にトライして、リクガメには健康になってもらいたいもの。

チンゲンサイのような主菜メニューと、ニンジンのような副菜メニューをうまい具合に組み合わせて、ぜひバランスの良い給餌メニューを目指しましょう。

(終わり)

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