リクガメを飼育されている方にはおなじみの習性ですが、リクガメはしばしば床材の土や砂を食べます。
これは自然下では、天然岩石に含まれるカルシウムやミネラル分を摂取するといった、意味のある行為です。しかしだからといって床材をバクバクと食べるのでは、飼育者としては不安になってしまいます。
この記事では、できるだけリクガメが床材を食べても害がないようにする方法をタイプに分けて考察していきます。
タイプ別 リクガメが床材を食べる理由
その1:純粋におなかが空いている
(アカツメクサの花を食べる我が家のロッシ―)
同じカメの仲間では「ミドリガメが空腹時には、自分よりも体格の大きい鯉に噛みつく」という話が有名です。リクガメはここまでではないものの、お腹が空いていると何でも口に入れてしまいます。
以前記事にも書いたのですが、飼育していたリクガメが床材の新聞紙をムシャムシャと食べていたという出来事が以前にあり、私もそのときは青ざめたものです。
事実として、リクガメが床材を囓りだしているときに、目の前にエサを持っていってあげるとすぐにそちらに飛びつくケースが多いです。
ああ、お腹が空いていたんだな、と思うわけです。
(解決策)エサの量を見直してみよう
リクガメのエサの量は諸説ありまして、甲羅の体積と同じ分量(?)などいろいろな意見があるのですが、基本的に食べるだけ与えて大丈夫のようですね。もう満腹、となるとリクガメの方から食べるのをやめてくれます。
ミドリガメでこれをやると確実に肥満になるのですが、リクガメの場合主食がヘルシーな野草です。屋外飼育をされている場合も、リクガメが食べたい分だけのエサ(野草)が常にどこかしらに自生している状態だと思いますし、エサの分量はカメ自身で調整をします。
その2:エサに床材がくっつく
(餌入れを用意しても、外に引っ張り出してしまう)
リクガメにエサを食べさせるときに「餌入れ」を用意して、そこに野菜を置くケースが多いと思います。
このときにカメがお皿(餌入れ)の上で食べてくれたら良いのですが、どういうわけか葉っぱを引っ張り出して、お皿から外に出しちゃうのですね。
そしたら野菜に土がついてしまいますので(や、やめてー)と思うわけですが、我が家のカメだとこれが食事スタイルのようです。
(解決策)大きめの餌入れを用意しよう
ですから、なるべく大きめの餌入れを用意する、というのはひとつのポイントになってきます。餌入れはペットショップで買っても良いのですが、百円ショップに売っている大きなトレーを使うのも便利です。我が家では百均の木製のまな板を餌入れに使っています。
あと、床材のなかに野菜の食べ残し(葉っぱの欠片)なんかが落ちていますと、リクガメは一生懸命それを土ごと食べようとしますから、毎日の清掃をしっかりするというのも大切です。
エサにくっつきにくい床材としては、上の「ニチドウ ハ虫類マット」がおすすめです。燃えるゴミとして処分でき、粉塵にもなりにくく、扱いやすい床材です。
その3:嘴を削ろうとしている
飼育下だと、リクガメの嘴はどうしても伸びすぎてしまいます。野生下では土から野草を引っこ抜いたり、岩をガリガリと囓ったりすることで、適度に嘴が削れるのだそう。
なので床材の石をガリガリとやるのは、もしかしたら嘴を削ろうとしているのかもしれません。
リクガメの囓る欲求を解消するためのアイテムとしては、上のようなグッズもあります。原材料がイカの甲ですので、カルシウム補給もできます。
じつは我が家のリクガメケージにもこの「カメボーン」を2個設置しているのですが、残念ながらうちのロッシ―(ロシアリクガメ)は囓ってくれませんね。たまに上に乗っかって遊んだりはするものの……。
カメボーンを気に入る(囓ってくれる)かどうかは、個体差があると思います。
嘴の伸びすぎは動物病院へ
なお、嘴の伸びすぎについては、動物病院で対処してもらうのが一番です。ネットで調べると、自宅でもできる方法なんかが紹介されていますが、まったくの素人がやるには危ないです。
その4:カルシウムやミネラルが不足している
もともとリクガメが土を食べるのは、岩石中に含まれるカルシウムやミネラルを補うためだとされています。なのでそれを逆手にとって、床材にカルシウム剤を振りかけておく、というのも一案ではあるかもしれません。
初めからカルシウムが含まれている床材としては、ニッソーという会社が出している「カルシウムサンド」がおすすめです。
床材の原料が「100%国産天然岩石」ということで、自然下に近い環境を作ることができます。ココナッツサンドなんかとは違って本物の岩石ですので、爬虫類用床材のなかでは最も「重い」です。そこら辺はデメリットでもありメリットでもあるのですが、比較的誤飲したときの安全度が高い床材だとは思います。
(解決策)カルシウム剤を適度に利用しよう
市販野菜がエサのメインですとどうしても(カブの葉や大根の葉を除いては)カルシウムとリンのバランスがよろしくなく、ある程度は爬虫類用のカルシウム剤を添加して補う必要があります。
うちでは『ジェックス カルシウム40g PT1850』を使っています。
爬虫類用のカルシウム剤ですと、ビタミンD3が添加された製品が多いです。ただビタミンDの過剰摂取は肝臓に負担をかけるそうで、『ビタミンDを含むカルシウム剤は用いないでください。』とゆず動物病院のホームページでは注意喚起がされています。
ちょっと見えづらいのですが、『ジェックス カルシウム40g PT1850』の外箱をスキャンした画像です。
成分を見れば分かるとおり、ビタミンDは添加されていません。姉妹製品の『ジェックス カルシウムVITD3 40g PT1855』の方はビタミンD3が入っているので、間違えないように注意が必要です。
他の製品ですと『爬虫類牧場パウ 炭酸カルシウム(PC182)』や『スドー カルシウムパウダー』もビタミンを含まないカルシウム剤です。
リクガメ用のカルシウム剤を選ぶときは、無リン&ビタミンD無しのものを選ぶのが無難でしょう。
誤飲しても安全な床材を選ぶ
さて、ここまで話が脱線しながらも長々と書いてしまいましたが「リクガメが床材を食べる!」というのは習性である以上、ある程度はどうしようもないことです。
ですので、誤飲しても安全な床材を選ぶことが一番大切なことだと思います。
我が家では『カミハタ デザートブレンド』というクルミ殻の床材をメインで使っていました。リクガメが床材を食べることはありますが、10年間の飼育のなかで床材による健康被害は起きていません。
過去記事【ロシアリクガメに適した床材を考える(爬虫類専用土の比較考察)】では誤飲しても安全な床材の比較考察もしていますので、もしよければ参考にしてみてください。
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